ちどり庵主人の木造ヨットライフ

約10年間、ヨットから遠ざかっていた筆者が復帰するににあたり、憧れだった木造艇を手に入れ再開したヨットライフの顛末を綴る。

エンジンの整備

ヤンマーSV5型エンジン

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ヤンマーSV5型エンジン

我が愛艇にはヤンマーSV5型エンジンが搭載されている

スペックは、立型水冷4サイクル1気筒、連続定格出力5Ps(1700rpm)、実用最大出力12Ps(3000rpm)だ。数年前にOHしたとの話を聞いているが、エンジン自体調子は良く、特に手を入れる必要はなさそう。なので、オイル交換と劣化している燃料ホースの交換くらいをメニューとして考えていた。

エンジンオイルはエンジンに予め備え付けられている廃油ポンプを使用して交換するらしいが、今回は山名ボートサービスさんから借りたオイルチェンジャを使用した。ポンプで真空にして吸い出すものだ。エンジンオイルはそもそも20Wと硬い上、ディーゼルエンジンでは劣化すると更に粘度が上がって硬くなるなるので、暖気後で無いと抜き取ることが出来ないので、暫くはエンジンを運転してから作業を行なった。

オイルチェンジャーは作業が楽なのだが、オイルレベルゲージの孔からチェンジャのホースを差し込み、一旦エアを吸っても、さらに弄るとナンボでも抜ける。ちなみに潤滑油量は3.5Lだ。改めてマニュアルを見ると、どうやらオイル交換用に廃油口プラグと云うものが別にあったらしい。次回交換時には良く確認したい。

 

燃料/油水分離フィルター取り付け

何せ古い艇なので、燃料タンクのフラッシングを考えていたが、時間の関係上出来そうにもなく、といって、燃料タンクの底に溜まった水やスラッジでエンストするのも怖いので、水フィルターを兼ねた大型の燃料フィルタを取り付けることにした。

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燃料フィルタはネットで探した物。大体が大型のパワーボートディーゼルエンジンに対応したものなので、最大出力僅か12Psと1/10程度の出力しか無い当艇にとっては、十分以上に大きい。従って、取り付けレイアウトがやりやすそうで、水抜きバルブが付いている商品を選んで発注した。

ホースは山名ボートサービスさんに有ったテキトーなホースから燃料用の物を選び、現合あわせて切って使用した。

燃料はタンクから重力で落ちてくる原始的なタイプなので、フィルタはエアが噛まないようにタンクに対して低い位置に取り付け、またホースの取り回しもエンジンルームのカバーや補機ベルトに当たらないように注意して配管した。

フィルター本体はエンジンルーム壁にボルトナットで取り付けたが、緩まないようにナットはロックナットを使用している。

 

純正燃料フィルタエレメントの交換

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手こずったのは、なんとエンジン本体に取り付けられている燃料フィルターだ。そもそも、燃料ホースのバンジョー取り付け座の高さが低く、ホース固定用のホースバンドとフィルタ固定用のネジキャップの隙がなく当たる設計になっており、とても締めにくく何度閉めてもエアを吸ってしまう。余り何度やってもうまく行かないので、フィルタ全体をエンジンから取り外して確認してみた所、なんと、エレメント本体が中で突っ張って、キチンと締まっていないことが判明した。ヤンマー純製品のエレメントで一般的な(104500-55710)ではSV5エンジンでは微妙に長さが長く、フィルタケースの底に当たってしまう。微妙に短い(104800-55710、O-リング:243210-0050)を使用することで解決したが、先のホースバンドと当たる設計といい、ヤンマーの思想はどうなってるんやら。また、エンジンの燃料ポンプなどのバルジチューブのパイプ部分の長さが短く、ホースバンドの幅に対して余裕が無く、基本的な設計がおかしいところが散見される。大丈夫か、ヤンマー!と言っても50 年前だけど。。。

 

スタータモーターの交換

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古い日本電装製スタータモータ

エンジン本体は元気そうだが、スターターモーターはちょっと難があった。エンジンキーを捻っても、セルが回らず、カチっと云うソレノイドの音もしない。が、しつこく何回もやっていると回り始めるといった程だ。どうやらソレノイドの劣化の様なので、スターターモーターのOHが必要かと思っていたところ、山名ボートサービスさんの在庫品から使用できる中古品が有ったので、組み替える事にした。

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スタータモータはオルタネータの奥で工具が入らない

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オルタネータを外して新しいスタータモータを取り付けたところ

しかし、これも整備性が悪く、手前にあるオルタネータを取り外してからで無いと全く作業できず、結構手間取ってしまったが、何とか無事交換することができた。

ヤンマーは部品在庫の持ちが良いらしく、50年前のエンジンでも今のところ部品手配に不自由はしていないが、そろそろ欠品部品も出てきているらしい。故障の内容によっては、今後エンジンの載せ替えが必要になることもあるやもしれぬ。その様な故障が起こらないことを祈るばかりだ。