ちどり庵主人の木造ヨットライフ

約10年間、ヨットから遠ざかっていた筆者が復帰するににあたり、憧れだった木造艇を手に入れ再開したヨットライフの顛末を綴る。

50年選手ヤンマーSV5復活に向けて

ヤンマーSV5エンジン復活への道

本船の進水は1972年。おそらくその当時から搭載されていた補機である、齢50年のヤンマーSV5ディーゼルエンジン。定格出力12psの副室付き4サイクル単気筒ディーゼルエンジン、漁船法馬力4馬力とある様に、当時漁船に多く採用されたエンジンらしい。

当時の漁船は、船の中心付近にエンジンを搭載したインボード方式で、エンジンの上に燃料タンクを配置し、重力式で燃料をエンジンへ供給していたそうだ。我が浜千鳥はセーリングjクルーザーであるからして、エンジン直上に燃料タンクを設置することなどできるはずもなく、エンジンと同じレベルに燃料タンクを設置し、フィードポンプでエンジンへ燃料を供給する。

ヤンマーSV5フィードポンプ

今回、燃料噴射燗のところのエア抜き作業で燃料が来ていなかったことから、燃料噴射ポンプを疑い新品を手配。なんと 50年前の製品ながら在庫あり。噴射管も在庫は有ったが、2個のみとのこと。私が一個購入したので、残りはあと一個だ。噴射ポンプは写真の様な構成で、バネとリテーナーの先には、エンジン内部に有って見えないがリフターが有り、内部のカムによりリフターを介してロッドが押され、ポンプが作動し高圧燃料が送られるという仕組みらしい。

ヤンマーSV5噴射ポンプパーツ

噴射ポンプ構成

SV5噴射管

そこで、さすがに50年経つと噴射ポンプもダメになったのかと思い、噴射ポンプを交換して手動でクランキングして様子をみたところ、燃料は来るものの十分では無い感じ。

噴射ポンプガスケットパーツ

改めてみてみると噴射ポンプのガスケットを交換していなかった事に気づき、これを手配し、再度トライしたがやはり変わらず。しかも手動でクランキングした副作用で持病の椎間板ヘルニアが悪化しひどい腰痛に。これ以降は、諦めてヤンマーのメカニックに修理を依頼。したものの、メカニックさんSV5エンジンなど見たことも聞いたこともないとのこと。そりゃぁ生まれるより前の、50年前のエンジンだし、無理も無いか…。

エンジンブロック側に貼り付いて残ったガスケット。奥にリフターも見える。

今回のエンジントラブルは、状況からして燃料系と考えられる。燃料タンク上流から確認していくと、タンク自体はスラッジなど溜まっていたとしてもやむなしとして、それに備え大型のフューエルフィルターを設置してあり、これは不具合なし。元々のフューエルフィルターについても改めてエア抜きを実施。フィードポンプももしや、と云う事を考え新品に交換。

インジェクターOH中で取り外しら穴はゴミが入らない様目張り。

しかし、エンジンは始動できず。その為、インジェクターからの燃料噴射量を確認したところ、マニュアルに対して不足している事が判明。インジェクターはASSY部品は出ていない為、個別に部品を手配してもらいOHを行った。

結局インジェクターの劣化が主原因だった様で、これを以ってエンジンは完調となった。以前よりもエンジンの音も軽やかになった様な気がするし、アイドリングも回転を上げずに保てる様になった。これで後50年行けるか⁈

ヤンマーSV5エンジン燃料系部品交換完了